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テレビCMの貢献度を可視化!MMM(Marketing Mix Modeling)のモデル構築と分析の伴走

オープンハウスグループ様 テレビCMの貢献度を可視化

課題

  • テレビCMを含むアッパー~ミドルファネル施策は、広告代理店から提供されるR/Fやアンケートベースの態度変容調査を元におこなっていたが、より一つ深い階層の消費者アクションに対する示唆が出せていないかった
  • 自社内での各メディアごとの最適な投資額の検証や、メディア投資結果の振り返りができていなかった

解決策

  • Causal Impact/ MMMなどの統計学的なアプローチを取る
  • 統計学的な分析を自社で行えるようにし、その結果を元にPDCAを実施する

結果

  • TVCMを含めた認知施策の効果を、自社が保有するデータで振り返ることができるようになった
  • メディアプランニングや認知施策全体の方針や方向性を再構築することができた

取材者プロフィール

飯田

株式会社オープンハウスグループ

コミュニケーションデザイン本部 広告宣伝部 次長

飯田 大輔 様

株式会社オープンハウスグループでテレビCMを含めた認知領域における広告宣伝活動の戦略統括をおこなっている。

矢澤

株式会社オープンハウスグループ

コミュニケーションデザイン本部 広告宣伝部

矢澤 曜 様

オープンハウスグループの戸建用地仕入れに従事したのち、マーケティング企画職に異動で5年目。

アッパー~ミドルファネル施策の評価の難しさ

飯田さん、矢澤さんはどのような役割を担っていますか?

飯田さん:私はコミュニケーションデザイン本部の広告宣伝部に所属しており、主にテレビCMや広告宣伝物の制作、さらにアッパーからミドルファネルを対象としたマーケティングの全体戦略の企画立案を担当しています。

矢澤さん:私も同じくコミュニケーションデザイン本部の広告宣伝部に所属しています。Qooxさんとの今回の取り組みでは、メディア担当として、MMM(マーケティングミックスモデリング)のモデル調整を行ったり、CausalImpactを活用した分析を手掛けました。

これまで抱えていた課題を教えて下さい

飯田さん:コミュニケーションデザイン本部が立ち上がったのは2023年ですが、それ以前からテレビCMのプランニングは広告代理店さまから提供いただいたリーチやフリークエンシーのデータ、そして定性アンケート調査(態度変容調査)の結果をもとに行っていました。

そのため、一つ深いマーケティングファネルでの効果を加味したメディア予算の配分妥当性や配信時期や頻度による効果の差異を図ることが難しいという課題を抱えていました。

その課題にどのように立ち向かおうとしたのですか?

飯田さん:私はこれまで日本の総合広告代理店2社や米国のITプラットフォーマーでの経験を経て、現職に就いています。その中で、MMM(Marketing Mix Modeling)という手法をよく目にしてきました。

ただ、MMMを含む統計学的な分析に取り組まなかった理由は、分析にかかるコストや柔軟性の欠如が課題になると考えていたからです。

また、立ち上げたばかりのコミュニケーションデザイン本部にはデータアナリストが在籍しておらず、内製化が難しい状況でした。一方で、外部委託を検討してもコストや時間がかかり、なかなか具体的な解決策を見いだせずにいました。

そんな中、前職でのつながりからQooxさんに相談したところ、統計学的な分析を簡易的に行える仕組みを構築し、内製化を進めるという提案をいただきました。その提案を受け、本取り組みがスタートしました。

オープンハウスグループ飯田様

当事者以外も、施策の成果が分かるように

本取り組みの概要を教えて下さい

飯田さん:この取り組みのゴールは、テレビCMを含むアッパー~ミドルファネル施策の成果を可視化し、その分析を自社で内製化することです。

先ほどお話しした通り、Qooxさんには簡易的に統計学的な分析を行える仕組みを構築していただき、さらにその分析プロセスに寄り添った支援をしていただきました。

具体的には、自社で必要なデータを収集し、それをQooxさんが用意してくださった分析用パッケージに投入することで、どのような結果が得られるのかを簡単に分析できる仕組みを整えました。この仕組みにより、自社内での効率的な分析が可能になりました。

本取り組みで大変だったことはなんですか?

矢澤さん:Qooxさんから提供された分析パッケージは、必要最低限のパラメータを調整できるものでしたが、それでも統計学的な分析をしたことがない私にとっては、どのように分析を進めれば良いのか分からないことが多々ありました。

聞き馴染みのない指標や専門用語、これまで扱ったことのない数値の解釈など、とにかく情報量が多く、最初は大変でした。

そんな中でも、分からないことを1つずつ解消していく過程で、Qooxさんからデータの見方や解釈方法について丁寧にアドバイスをいただけたおかげで、安心して取り組むことができました。

今では、自分でデータを収集し、分析を行い、その結果を振り返って活用することができるようになり、これまでにはない成長を実感しています。

本取り組みで変化したことはありますか?

飯田さん:1つ目は、自分自身の納得感が向上し、社内への説明が以前より容易になったことです。

これまでは、テレビCMやデジタル動画広告がどれくらい事業成果に結びついているかが曖昧だったため、プランニングや戦略立案に不安がありました。

しかし、この取り組みにより成果が可視化されたことで、戦略を立てやすくなり、関係者への説明もしやすくなりました。

実際、具体的な内容はお伝えできませんが、この分析結果をもとにテレビCMのプランニングも見直し始めています。

2つ目は、新しい施策を実施する際に「どのように評価するか」を悩まなくなったことです。

今回、MMMだけでなく、CausalImpact(Googleが提供するオープンソースの分析パッケージ)やUplift Modelingの内製化支援をいただき、状況に応じた適切な分析手法を選び、評価方法を設計できるようになりました。

矢澤さん:私にとっては、分析スキルが格段に向上したことが大きな変化です。

これまでもデータを見て分析する経験はありましたが、今回さまざまな分析手法に触れる機会を得たことで、1つの分析結果からより多くの解釈を引き出せるようになりました。

さらに、分析に必要なデータの収集方法や指標の意味についても深く理解できたため、マーケターとしてのひとつのスキルが身についたと感じます。

オープンハウスグループ矢澤さま

オープンハウスグループのこれからのコミュニケーション戦略

今後について教えて下さい

飯田さん:今回の取り組みで達成したのは、あくまで「可視化」と「内製化」です。

この結果をもとに、どのようにユーザーとコミュニケーションを取るか、そしてオープンハウスグループの価値や魅力をどのように世の中に伝えていくかをさらに突き詰めていきたいと思っています。

オープンハウスグループは、不動産業界で日本一を目指しています。そのためには、私たち一人ひとりが広告宣伝パーソンとして日本一のレベルに到達する必要があります。

今回の取り組みを通じて、「今の立ち位置」を把握することができました。あとは、これを足がかりに、前進を続けていくだけです。

矢澤さん:飯田が話したことと重なる部分もありますが、分析ができるようになっただけでは成果は改善しません。

重要なのは、分析結果をもとに次の予算配分やクリエイティブの方向性を決めるなど、しっかりとPDCAサイクルを回していくことです。

これまで感覚的にしか判断できなかった部分が可視化されたことで、現在制作をお願いしている広告代理店さまとも、より高度なレベルで議論できるようになりました。

この状態を維持しつつ、さらに良いコミュニケーション戦略を構築していきたいと考えています。

 

この記事の最終更新日は2025年01月09日です。
現在はお取り組みをしていない可能性があります。

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